展示会運営者が知っておきたい勘定科目の知識(その1)

2022.10.31

勘定科目の知識

どのような職種の方でも経理上の専門用語は知っておいて損はありません。イベントなどの展示会運営者も同様で、経理の仕事が完ぺきにできなくても知識だけは身に付けておく必要があります。ここでは経理上の分類項目である勘定科目について、いくつかご説明します。

 

広告宣伝費とは自社のサービスや製品を不特定多数に向け宣伝するのにかかる費用を指します。
販売促進費や交際費と明確な区分がないため混同されがちですが、一般的には広告宣伝費はテレビやチラシなどによる間接的な宣伝費用、販売促進費は販促キャンペーンの費用など直接的な宣伝費用というように区分されます。
一方、交際費は得意先への接待など特定の方を対象とする行為における費用を指します。
広告宣伝費の最適な金額設定については業種・業態や立地・年数などにより5〜20%程度の幅があります。簡単な決め方としては同業種の広告宣伝費の平均を参考に設定するのがおすすめです。

「販売促進費」とは

販売促進費とは、商品の売り上げ促進のために使う費用のことです。具体的には、店頭POP、ノベルティ、キャンペーンなど直接的に宣伝するのにかかる費用です。
広告宣伝費と混同されやすいですが、こちらはチラシや雑誌などに掲載するときの掲載料や、ホームページなどで宣伝する場合の制作料などで、間接的に宣伝する場合に使われます。勘定科目上では販売促進費と広告宣伝費は区別されていますが、その区別は会社ごとにはっきりと決めておく必要があります。
また、似たような科目では、交際費があります。販売促進費・広告宣伝費と交際費の違いは、前者の対象が不特定多数であるのに対して、後者の対象は特定の相手だということです。
例えば、取引先の相手に送るお歳暮やお中元は交際費になります。それに対しお店で商品を買ってくれたお客様にプレゼントするノベルティは広告宣伝費(販売促進費)になります。
税務上、交際費の損金算入は厳しく制限されているため、これらの仕訳を適切に行うことは重要です。

 

「旅費交通費」とは

旅費や交通費は似たように使われる言葉ですが、経理上はこれらを管理するための勘定科目として旅費+交通費という意味で「旅費交通費」という言葉を使います。
旅費には、出張交通費、宿泊費、食費、出張手当、赴任旅費、支度料などが含まれます。一方交通費には、通勤定期代、電車・バスなどの公共交通機関の代金、タクシー代金、車の場合の高速道路の利用料金や駐車場の代金も含まれます。
ただし、宿泊費でも、研修旅行の場合は研修費、慰安旅行などの宿泊費は福利厚生費で処理することになります。

 

「会議費」とは

会議費とは、会議に関連して支出される費用のことです。例えば会議のための室料や資料代などがこれにあたります。
しかし、会議費には食事や弁当などの飲食代も該当する場合があるため、交際費と混同しがちですが、交際費は、取引先や仕入れ先などの特定の方を接待するためにかかった費用になります。
会議費と交際費の一番の違いは、1人5,000円を超えるかどうかです。接待飲食代のうち、1人5,000円を超えるものは接待交際費となり、5,000円以下であれば会議費となります。
ただし、会議費とするには要件(飲食などのあった年月日・飲食などに参加した方などの氏名または名称及び関係・飲食などに参加した方の数・金額と飲食店などの名称と所在地)を満たした領収書やレシートが必要になります。
また、会議費は支払った金額はすべてを経費に計上できるのに対して、交際費は支払った金額のうち800万円までしか経費に計上できません。

 

まとめ

勘定科目は紛らわしいものがあり、どちらにするのか迷うケースも少なくありません。どちらでもよさそうなケースでは、いったん決めたら以後は変えないようにすることが大事です。ただ間違った勘定科目で計上しないよう、基本はしっかり理解しておかなければなりません。
ここで取り上げた勘定科目のうち、テレビ、チラシ、新聞などの外部の媒体を通す場合は広告宣伝費、キャンペーン費用などのように自社内の処理なら販売促進費となります。旅費交通費は旅費と交通費を合わせたものですが、研修や慰安旅行は別の勘定科目になります。会議費は比較的分かりやすい科目ですが、飲食を伴った場合に少し考える必要があります。展示会などで必ず出てきそうな勘定科目についてはよく理解しておきましょう。

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