イベントコンパニオンが知っておきたい和服の知識

2022.10.31

振袖、留袖など種類豊富な和服は、格式高く背筋の伸びるような佇まいが素敵です。イベントコンパニオンの衣装として着る機会もあるかと思います。それぞれの違いなど、和服のマナーを知っておくと、役に立つことがあるかも知れません。参考にしてみて下さい。

 

和服のあれこれ

振袖は袂の長い袖のついた着物です。成人式でよく見られることから若い女性が着るイメージがありますが、実は年齢に関係なく未婚女性の正式な服装とされています。
振袖は袖の長さで大振袖、中振袖、小振袖の3種類に分けられ、袖が長いほど格式の高いものとなります。
最も格式の高い大振袖は113㎝前後の長さの袖のもので、結婚式で花嫁のお色直しに使われます。中振袖は95㎝前後の長さの袖のもので、主に成人式で着られます。小振袖は75㎝前後の袖のもので、袖が短く動きやすいため気軽に振袖を楽しみたい時に着ることができます。
おめでたい日に着られるという点ではどの種類も共通しますが、袖の長さによって使われる場面が異なるのでTPOに合わせた振袖を選ぶことが大切です。季節や着る場面に合わせた柄を選ぶことができると、知的で素敵な女性をアピールすることができます。

 

「留袖」について

留袖とは、慶事に着用する和服の一種で、既婚女性が着用する礼服です。もとは振袖の袖丈を短く切って仕立て直し、縫い合わせたものでした。
着物の中では最も格式高い礼装となり、上半身は無地で、裾におめでたい柄があしらわれています。地が黒色のものを黒留袖、それ以外の色のものを色留袖と呼びます。
黒留袖は既婚女性が着用する最も格式が高い礼装(第一礼装)です。主に結婚式や披露宴で着用し、ゲストへの敬意と感謝を示すために新郎新婦の親族や仲人夫人が着用します。
色留袖の格式は紋の数によって変わります。五つ紋が黒留袖同様第一礼装となり、親族の披露宴や叙勲の授賞式などにふさわしい礼装となります。また三つ紋や一つ紋はゲストとしての披露宴やパーティーなどにふさわしい礼装です。

 

「訪問着」について

訪問着とは、年齢や結婚の有無に関係なく、フォーマルからカジュアルまで幅広く活用できる和服です。格式としては、留袖に次ぐもの(準礼装、略礼装)となります。
特徴は、肩から胸、袖にかけて流れるような絵羽模様が描かれていることです。色留袖との違いは、色留袖の方が格式は高くカジュアルな場にはふさわしくないこと、色留袖は上半身が無地で裾にだけ模様が描かれているということです。
訪問着は、さまざまなシーンで着用できます。ゲストとして招待された披露宴やパーティー、お宮参りや七五三、入学式や卒業式、お茶会や挨拶回りなど、着用できる機会はたくさんあるため持っていると便利な和服でもあります。
フォーマルな場(披露宴やパーティー)では、大柄のものや金彩の入ったものなど、華やかで上品なものがふさわしいです。

 

下駄と草履の違い

下駄と草履の違いは簡単に言ってしまうと形状と材質の違いということになります。
底面の形状は、下駄は歯と呼ばれる突起が主に二つ付いているのに対し、草履はフラットです。
材質については下駄が木製の板を使っているのに対し、草履は革や布、ビニールやウレタンといった幾つもの素材を重ね合わせたものになります。
草履は歩きやすさを重視した履物で、昔は長距離の移動や山登りなどに愛用されていました。一方の下駄は高さがあるため、道路がまだ舗装されていないような時代の雨天時などで重宝されていました。
下駄や草履は夏祭りや温泉旅行先などで履かれることが多いファッションアイテムの一つですが、一般的には浴衣に合わせるのが下駄で、着物に合わせるのが草履とされています。

 

まとめ

着物を着た女性は特別な時期以外は見ることが少なくなりました。しかし街中でピンと背筋が伸びた着物姿の女性を見るとやはりよいものだと思います。
着物は振袖、留袖、訪問着に分けられますが、さまざまな立場の女性が一堂に会する結婚式や披露宴を例にあげると格式などの違いが理解しやすいです。新郎新婦の母親が着用するのは五つ紋の入った黒留袖です。姉妹や祖母、叔母などの立場なら、既婚女性は黒留袖や色留袖、未婚女性なら振袖が一般的です。
また、履物の下駄と草履の違いとしては、「浴衣は下駄で着物は草履」と覚えておけば迷うことはありません。

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