展示会の成否は「役割分担」で9割決まる。山洋電気ブースに学ぶ、イベントコンパニオン3名体制(佐久間・青木・いとう)の最適解

2026.02.10

「イベントコンパニオンを複数名採用したいが、どう役割分担すれば良いか分からない」「人数を増やしても、ただ人件費がかさむだけではないか?」展示会への出展を控え、複数名のイベントコンパニオン起用を検討している担当者様から、このようなご相談をいただくケースが増えています。一人のコンパニオンに任せるのとは訳が違う、チーム体制ならではの難しさがあるのは事実です。

 

本記事では、その課題に対する一つの「最適解」を提示します。舞台は、2025年12月に開催されたアジア最大級のロボット専門展「国際ロボット展 2025」。その中でも、特にスムーズな来場者対応と高いエンゲージメントを実現していた「山洋電気株式会社」様のブースです。同社が採用した3名のイベントコンパニオン、佐久間伶奈さん、青木 陽菜乃さん、いとうゆこさんのチームワークを分析することで見えてきた、3名体制の費用対効果を最大化する「役割分担」の極意に迫ります。

 


【基本の定義】「コンパニオンチーム」とは?個の力から組織の力へ

単なる「増員」ではない。「システム」としてのコンパニオンチーム

まず、イベントコンパニオンの3名体制を、単なる「1人×3」の足し算と考えてはいけません。それでは、人件費が3倍になるだけで、成果は3倍にはなりません。成功するブースが構築しているのは、個々の能力を最大限に引き出し、相乗効果を生み出す「システム」です。来場者がブースに足を踏み入れてから、名刺交換や商談に至るまでの一連の流れ(カスタマージャーニー)を設計し、各ポイントに最適なスキルを持つ人材を配置する。それこそが「コンパニオンチーム」の基本的な考え方です。個々のコンパニオンは、システムを構成する重要な「機能」として、それぞれのミッションを遂行します。

なぜ今、チーム体制が求められるのか?

近年の展示会、特に「国際ロボット展」のような大規模な専門展では、来場者の目的が多様化しています。最新技術の動向を調査したい研究者、具体的な課題解決のパートナーを探す開発者、製品導入のコストを比較検討する購買担当者など、様々な層が訪れます。一人のコンパニオンが、これらすべての来場者に完璧に対応するのは不可能です。そこで、異なる得意分野を持つコンパニオンがチームを組むことで、あらゆるタイプの来場者を的確に捉え、機会損失を最小限に抑えることが可能になります。多様化するニーズに対応し、成果を最大化するために、今「チーム」という考え方が不可欠なのです。

【仕組みの解剖】山洋電気ブースに学ぶ3名体制の最適解「トライアングル・フォーメーション」

国際ロボット展2025における山洋電気様のブースは、まさに「システム」として機能していました。佐久間伶奈さん、青木 陽菜乃さん、いとうゆこさんの3名が、それぞれ明確な役割を持って配置され、来場者をスムーズに誘導する「トライアングル・フォーメーション」とでも言うべき見事な連携を見せていました。ここでは、その仕組みを徹底解剖します。

役割1:アタッカー(Attacker)佐久間伶奈さん ― 機会創出の起点

ブースの最前線、通路に面した位置に立つのが「アタッカー」の佐久間伶奈さんです。彼女のミッションは、ブースの前を通りかかる不特定多数の来場者の足を止め、最初の接点(タッチポイント)を創出すること。彼女は、明るい笑顔と的確な声かけで、来場者の警戒心を解き、ブースへの心理的ハードルを下げます。「こんにちは!5分でわかる、未来の工場の姿、覗いていきませんか?」彼女の役割は、製品を詳しく説明することではありません。来場者の興味を喚起し、次の「ナビゲーター」へとパスを繋ぐ、まさにチームの起点となる重要なポジションです。高いコミュニケーション能力と、瞬時に相手の興味を引く洞察力が求められます。

役割2:ナビゲーター(Navigator)青木 陽菜乃さん ― ニーズの可視化と誘導

佐久間さんからパスを受けた来場者に対応するのが、ブースの中央付近に位置する「ナビゲーター」の青木 陽菜乃さんです。彼女のミッションは、来場者との短い対話の中から、そのニーズや課題を可視化し、ブース内の最適なコンテンツ(製品デモや技術パネル)へと誘導すること。「お客様は、どのような製品の冷却でお困りですか?」「サーボモーターの精度について、特にどの点にご興味がありますか?」といった具体的な質問を通して、来場者の課題を深掘りします。そして、「それでしたら、あちらの新型冷却ファンのデモが参考になるかと思います」と、的確に次のアクションへと導きます。ヒアリング能力と、ブース全体の製品知識が求められる、司令塔のような役割です。

役割3:クローザー(Closer)いとうゆこさん ― 関係構築の仕上げ

デモ機の周辺や商談スペースの近くに位置するのが、「クローザー」のいとうゆこさんです。彼女のミッションは、製品に興味を持った来場者を、その後の具体的なアクション(名刺交換、詳細な説明のアポイント、資料請求)へと繋げ、関係構築を完成させること。技術担当者が製品説明に集中している間に、彼女はそっと来場者に寄り添い、「後ほど、本日の資料をメールでお送りしましょうか?」「もしよろしければ、後日、担当者から詳しいご説明の機会を設けさせていただきますが、いかがでしょうか?」と、次のステップを提案します。彼女のきめ細やかなフォローがあることで、技術担当者は説明に専念でき、来場者は「大切にされている」という印象を抱きます。丁寧な対応と、ビジネスの次の展開を読み取る力が求められる、チームの成果を確定させる重要な役割です。

チーム体制のメリット・デメリットと、成功のための注意点

メリット:機会損失の最小化と顧客満足度の最大化

山洋電気様の事例が示すように、チーム体制の最大のメリットは、あらゆるタイプの来場者を逃さず、それぞれのニーズに応じた最適な対応を提供できる点にあります。これにより、「声をかけられずに通り過ぎてしまう」「説明員が捕まらずに帰ってしまう」といった機会損失を最小化できます。さらに、来場者は流れ作業のように扱われるのではなく、各段階で専門的な対応を受けることで、企業に対する満足度や信頼感を高めます。これは、将来的な商談化率や成約率に大きく貢献する、見えざる資産となります。

デメリット:連携不足による「渋滞」と「責任の希薄化」

一方で、デメリットは役割分担や連携がうまくいかない場合に発生します。例えば、アタッカーが過剰に来場者を呼び込みすぎると、ナビゲーターの前で「渋滞」が発生し、かえって顧客満足度を下げてしまいます。また、「これは私の仕事ではない」といった意識が生まれ、役割の隙間に落ちたボールを誰も拾わない「責任の希薄化」が起こる危険性もあります。これらのデメリットは、チームとしての目標共有ができていない場合に顕著になります。

【注意点】成功の鍵は「情報共有」と「共通言語」

このデメリットを克服し、チームを成功に導く鍵は、徹底した「情報共有」です。アタッカーはナビゲーターの対応状況を常に把握し、呼び込みのペースを調整する。ナビゲーターはクローザーに、来場者の詳細な情報を正確に伝える。このスムーズな情報連携を可能にするのが、「共通言語」の存在です。例えば、来場者の興味レベルを「A(今すぐ客)」「B(そのうち客)」「C(情報収集客)」といったランクで共有するルールを決めておけば、引き継ぎは格段にスムーズになります。事前のブリーフィングで、役割分担だけでなく、このような情報共有のルールまでしっかり決めておくことが極めて重要です。

 

 

 

 

【初心者の誤解】複数名体制でつまずく、3つの落とし穴

落とし穴1:「同じスキル」の人材を揃えてしまう

「とにかく明るくて元気な人を3人」といったように、同じタイプのスキルを持つ人材ばかりを集めてしまうのは、典型的な失敗パターンです。それでは、得意な業務はスムーズに進んでも、チーム全体として苦手な業務をカバーできず、穴が生まれてしまいます。山洋電気様の事例のように、「コミュニケーション能力の高いアタッカー」「ヒアリング能力の高いナビゲーター」「きめ細やかな対応ができるクローザー」といったように、意図的に異なる強みを持つ人材を組み合わせる「ポートフォリオ採用」の発想が重要です。

落とし穴2:「リーダー」を決めずに始めてしまう

3名のコンパニオンに、ただ役割を伝えるだけで「あとはよろしく」と丸投げしてしまうのも危険です。当日の状況に応じて、フォーメーションを柔軟に変更したり、休憩のタイミングを調整したり、社員との連携を仲介したりする「現場リーダー」を、コンパニオンの中から一人決めておくべきです。リーダーには、他のメンバーよりも少し広い視野で全体を俯瞰し、チームが円滑に機能するように調整する役割を担ってもらいます。リーダーの存在が、チームのパフォーマンスを安定させる上で決定的な違いを生みます。

落とし穴3:コンパニオン任せで「社員」が連携しない

コンパニオンチームがどれだけ優秀でも、社員側の受け入れ態勢が整っていなければ、その効果は半減します。ナビゲーターがせっかく質の高い来場者を技術担当者に引き継いでも、その技術担当者が他の社員と談笑していて対応が遅れれば、すべてが台無しです。コンパニオンチームは、あくまでブース全体のシステムの一部です。社員も含めた全員が、トライアングル・フォーメーションの仕組みを理解し、「自分の役割」と「次にパスすべき相手」を常に意識して動くことが、展示会成功の絶対条件です。

 

 

 

 

まとめ:あなたの展示会に最適な「フォーメーション」を

本記事では、国際ロボット展2025の山洋電気株式会社様ブースを事例に、3名のイベントコンパニオン佐久間伶奈さん、青木 陽菜乃さん、いとうゆこさん)が実践した「トライアングル・フォーメーション」を解説しました。展示会の成否が「役割分担」で9割決まる、という言葉の意味をご理解いただけたのではないでしょうか。

    • チームを「システム」として捉え、各ポジションの役割(ミッション)を明確に定義する。
    • 意図的に異なる強みを持つ人材を組み合わせ、チームとしての総合力を高める。
    • コンパニオンだけでなく、社員も含めた全員がフォーメーションを理解し、連携する。

もちろん、このフォーメーションが唯一の正解ではありません。ブースの規模や製品の特性、出展の目的に合わせて、2名体制や4名体制、あるいは全く異なる役割分担も考えられます。重要なのは、自社の目的にとって最適な「フォーメーション」は何かを考え、戦略的にチームを構築するという視点です。その第一歩として、まずは専門の派遣会社に相談してみることをお勧めします。


この記事は年間300件の展示会へのイベントコンパニオン派遣の実績がある、株式会社ファクトが監修しています。

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